2021年4月15日木曜日

ISO/JIS対応 Gotcha Stick(ガードオープニングスケール)試作

安全のためのガード設計を行い、出来上がったものの安全確認をするために米国ではGotcha Stickというものが以前から広く使用されているようだ。

歴史を調べてみると、機械式パワープレス機での災害が多かった時代にLiberty Mutual Insuranceという保険会社が安全基準の作成委員会に加わった時に、ガード開口部のサイズと最も近い動作ポイントハザードまでのガード距離を決定するための測定ツールとして考案したのが始まりのよう。

正式名称は、ガードオープニングスケールであるが、通称はGotcha Stick。

ガードの隙間にこれを突っ込むと、危険源まで到達するかどうか”一目でわかる!”  ”ガッチャ!” という意味かな。

ANSIの例


現物は折り畳めるようになっているのね。



米国では、ANSIとOSHAの隙間に対する安全距離が若干異なっているようであり、両方のスケールを突っ込んで、危険源に到達しないか確認をするようであるが、日本は、ISO基準に従っているのでそのゲージを探してみるが…

OMRONが海外向けに提供しているものがあった。オレンジ色の部分がISO対応のスケールのようである。
こちらで申し込めば無料で提供されるようだが…米国内が対象のよう。
https://automation.omron.com/en/us/support/resources/gotcha-stick-request
日本では、RSコンポーネンツ日本から¥838で販売されている。

オレンジ色の部分を拡大してみると、ISO 13857の下記テーブルを使用して、セーフティー ディスタンス スケールとして作っているようだ。


距離が分かれば自分で作れないわけではないので、やってみることに…
材料、道具は、100円ショップで探す。
まずは、スケール材料
ポリプロピレン製の裏面が白色のランチョンマットでやってみることに。


OMRONのスケールの真似をしながら、スロット、スクエア、ラウンドの3種類を描く。

これを切断して…

折り畳めばこんな風になるようにしたい。

で、3つのスケールをハトメで連結しよう。
大きさ的には、2mm程度のハトメで良さそうなのだが、100円ショップには、7mmのハトメパンチしか売っていなかったので、少し大きいけど7mmでやってみよう。
孔明け用のパンチも一緒に購入。



パンチで孔を明け

裏側には、もう1枚スペーサーを入れてパンチ。

スペーサーは、パンチした後に取り外して回転をスムーズにするために入れたのだが、特に取り外さなくても問題ないようだ。角はカットしてそのまま残すことに。

形状は出来上がり^^

注釈などを書き込んで

完成!

で、早速 隙間に突っ込んでみると…??
おかしい…
例えば、5mmの隙間であると、20mmほどスティックの先が出ていないといけないのだが、これじゃ2mmしかでないじゃん。
OMRONのものは、Safey Distance Scale(定規)であって、スロットに突っ込んで確認するスティックになっていないような…。
それに、よくよく見ると隙間と距離関係が3歳以上のテーブルが使用されている。
工場等の産業用では、見学者通路付近等を除いては3歳児を対象にする必要はなく14歳以上のテーブルを使用すればよい。


目で見て分かるスティックになるように一工夫し、14歳以上用の隙間と安全距離のテーブルを使用し、気を取り直して再度試作用の図面作成。

今度は最終形として、850mmまでの安全距離が確認できるよう折り畳み数を増やした。
右端に、スロット(長方形)用のスティック、左端にスクエア(正方形)とラウンド(円形)の隙間用のスティックをまとめた。

折り畳むと265mmでA4の入れ物に入るように工夫してある^^

これで監査グッズの仲間入り

次の日、実験プラントの安全確認を頼まれていたので早速試用を…

(ほらほら、ここのガードの隙間からだと… 回転部まで届くでしょう!)

「え~っ! 20mmの隙間で、850mmまで到達すると考えるんですか?」

(スロットの幅が、65mm以下だと親指が引っ掛かるから200mmで良いんだよ)

「腕の厚みがあるから、そんなに届かないと思うんですが…」

(人の体形はいろいろあるから、安全を見て隙間と安全距離が決めてあるから、設計はその基準に従って隙間と安全距離を決める必要があるんだよ。)

目で見て分かる到達距離のゲージ Gotcha Stickの話でした。

ついでに、足のも作ってみようか…

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